名前。

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名前。

僕にも 君にも 名前が無いからさぁ お互い呼び名は 「ねぇ」 なんだ。 「ねぇ」 君が呼ぶから僕は振り返る。 君の声が少し小さかったと感じたのは、君が泣いていたから。 大粒の涙。 「どうしたの?」 僕が聞くと君は言った。 「もう“ねぇ”は言い飽きたよ」 “ねぇ”がこんなにも辛いのは初めてだよ。 でも僕らには死ぬまで名前がつかない。 だって、僕ら自体が空想だから。
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