毒霧忍者 カトウ

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日本の昔。 たくさんの大名や殿様と呼ばれる偉いおっさんたちが、自分の領地を広めようとする戦国時代。 そんな時代のとある里に、カトウという若い男の下忍がいた。 その日、カトウは忍者の隠れ里で上忍に呼ばれる。 「カトウ 新しい任務じゃ」 「へい」 「ナルカミという大名の城に忍び込み、ナルカミを殺せ」 「は?」 その時代のその地域で、大名ナルカミは有名だった。 ナルカミは平民から殺人級の税を巻き上げ、逆らった者は家族はおろか、飼っている小鳥まで生き埋めにする。 やたら肌が白いので、戦乱のバカ殿と呼ばれていた。 「そんな!僕はまだ若手下忍すよ!」 「これは命令じゃ!」 「なら、中忍のサルトビやハットリの方が!」 「あの二人は別任務でオランダに向かっておる」 「そんなあ」 「いいか!必ずナルカミを殺せ!」 上忍の命令は絶対だった。 命令を聞いて死にに行くか、里を追われて死ぬか。その2択しか下忍カトウにはない。 何も言えないまま、上忍の前から忍者ぽくシュッと消えるカトウ。 トボトボと夕暮れの里を歩くカトウの姿を、近所の少年忍者たちが見かける。 「あ 毒霧カトウや」 「どくきり?今時なんで毒霧なんや」 「あいつん家貧乏だから、手裏剣買う金無いんや」 「うけんだけどー」 「あいつの親父、使った手裏剣また拾いに行くとこ刺されて死んだらしいぜー」 「うけんだけどー!」 (あ)
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