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昔から一緒だった。
ずっと、ずっと前から一緒で、それはこれからも変わらないモノだと信じていた。
双子、言葉では簡単なこの絆は、決して切れず、決して無くならない一つの鎖だった筈なのに。
私とアイツは、この世に産まれてからは別々になった。
性別も違う、声も違う、髪の色だって少し違う。
でも、一緒だった。
別々になった筈の私達は、まるでそんな事関係ないように、まるで一つの人間の様に、まるで硬い硬い鎖で繋がっている様に一緒にいた。
アイツは、私が困ればすぐに来てくれた。
私もアイツが困ればすぐに行った。
アイツは、私がして欲しい事をしてくれた。
私もアイツがして欲しい事をしてあげた。
私とアイツは繋がっていた。
心と心で一つになっていた。
でも、何か足りない気がしてた。
小さい時からずっと。
何かが足りない、何が足りない?
だけど、それは大人になるにつれて分かっていった。
アイツの事は私が一番理解している。
逆に私の事を一番理解してくれてるのもアイツしかいない。
私は不安で不安で、今以上をアイツに求めた。
アイツは応えてくれた。
私と同じように悩んだが、一歩踏み出せなかったみたいだった。
アイツは優しいから、アイツは何よりも私を一番に考えてくれているから。
それが……危険だった。
お互い禁忌を犯している事は分かっていた、だけど、今までよりも深い絆が生まれてくる感覚に酔っていた。
でも、気付かれてしまった。
禁忌の最中を親に見られて私達は離された。
アイツは私を庇った。
自分が全て悪いんだと、自分が脅してしていたんだと。
私が反論しようとすると、小声で、いいんだって呟いた。
何が? 一体何がいいの?
すぐに私達は離された。
アイツは親戚に引き取られた。
それでも繋がっていると信じていた。
なのに……。
アイツは死んだ。私を置いて、一人で死んだ。
アイツが血だらけで倒れている場所に私は立っていた。
私が誰にも言わずに会いに行ったその日にアイツは私から離れていった。
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