282人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
私の庭には、たくさんの向日葵が咲いている。
この向日葵達、夏だけでなく、一年中大きな黄色い花を咲かせているのだ。
「んー、今日も元気だね、あんた達」
うだるような暑さが続く毎日の中で、この向日葵達は太陽に向かって一心に生きている。
私達人間には眩しすぎて見ることが出来ない太陽を、この花だけは目を逸らさず、太陽だけを見つめ、生きている。
雲が太陽を隠してしまっても、この向日葵達はいつか太陽が出てくるのを信じて待っている。
そんな、真っ直ぐで太陽をそのまま花にしたかのような向日葵が、私は一番大好きだ。
「ほーら、気持ちいいでしょー」
ホースの先を潰して、太陽を見つめている向日葵に水をあげる。
これは私の、毎日の日課になっていた。
自然と頬が緩み、汗を拭った時に、
どこか、違和感を感じた。
「……あれ?」
毎日見ている向日葵達。
よーく観察して、ある事に気付いた。
「…あの向日葵が、無い…」
あの向日葵、というのは、
たくさん咲いている向日葵の中で一際大きな花を咲かせ、大きく伸びていた一輪の向日葵の事。
その向日葵が、跡形も無く消えていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!