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「…退屈だなァ…」
巨大モニターと、周辺には複雑怪奇に張り巡らされたコンピューターの数々とその配線。
それらを占拠する『彼』は、頬杖を突き、優雅に欠伸を噛み殺した。
退屈そうに人差し指で、カチカチカチ、とキーボードを叩いた。
「面白いコト、ないかナ…」
ふとモニターに目を移すと、人影が映った。
因みに、只今マンションの防犯監視システムにハッキング中である。この部屋の主がそんな些末的なコトをしているのは、余程“暇”な証拠だ。
クスリ、と酷薄めいた笑みを漏らす。
「ふふ。いーコト、思い付いた」
無邪気、とも思えるその様子は、傍から見れば玩具と戯れるコドモのようで、一見可愛げがあるが、その最大最悪のイタズラの餌食ともなる当事者からすれば、大迷惑この上ないことだろう。
新しい玩具を手にしたコドモの様に、目を輝かせ、部屋の主=世界迷惑大魔王は、ケータイのボタンを押した。
先程のモニターに映った影の持ち主たち、多紀とヤマトは、学校から平素暮らしているマンションへと辿り着いたばかりで、頑強ともよべるセキュリティの高いマンションの入り口をくぐったところだった。
ケータイが鳴る。
その着信を見て、多紀はしかめ面をした。
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