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それでもヤマトの周囲に人が集まるのは、彼の性格が偽らざるもの故か。
曲がったコトが、何より嫌いなのである。
そうして、両極に居るとしか思えない、全く正反対に見える多紀との唯一の共通点がそれであり。二人の関係が長続きしている由縁でもあろう。
先程の電話の主が住まう部屋のドアの前に立つ。
よく見ると、このフロアにはドアが一つしか、ない。
この広大な部屋を占有する者こそ、多紀とヤマトを呼び立てた『彼』である。
「ったく、どーやったらンなに金があるンだよ」
毒づきながら、多紀は無造作にインターホンを連打した。
カチ、とロックの外れる音がした。
ドアを開け、中に入る。
何時来てもそうだが、リビングには殆ど何もない。
大型テレビとソファーが広い間取りのリビングにあるだけだ。
生活感のまるで感じられない部屋に、唯一最新のゲーム機と、散らばった数枚のゲームソフト。
しかし、これらは主に『彼』が使うのではなく、時々訪れる多紀専用だ(だから、無造作に置かれたままなのだ)。
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