数奇な日曜日

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 結局、金貨は警察に届けた。盗難品なのだから、当たり前だ。  おそらく最初で最後になる取り調べを受けて、一週間、警察が私の家の周りをうろついた。  それはしょうがないことだったが、一番困ったのはマスコミだった。  学校に行こうにも、玄関を開けると十名ほどのリポーターとカメラマンが待ちかまえている。  ほとぼりが冷めるまで家から出ない方がいいと、先生方は明らかに腰が引けた意見を出した。  実際、それでもいいかなと考えた。  いたずら電話や変な勧誘広告が倍以上に増え、駅前や校門にまで張り付いているマスコミから逃げ続け…  疲れてしまったのだ。  リポーターの馴れ馴れしい声にも。カルト的な勧誘にも。  その時、ふさぎ込みがちになった私を励ましてくれたのは、父母やヤコブだった。  母は気丈に振る舞い、毎日笑い話をしてくれた。  父はマスコミから私を守る壁になってくれて、私に近寄ろうとしたリポーターを追い払ってくれた。  ヤコブは毎日じゃれついてきて、その温かい毛並みを撫でていると、世の中の喧騒を少し忘れることができた。  みんな、ありがとう。  この時から、人形の数を減らし始めた。というより、自然に減っていった。  最終的に残ったのは ガラスケースに収まっている人形と黒猫だけだった。  すっきりした部屋を見渡してみるが、何故か後悔の念が湧かない。あれほど固執していた宝物だったのに。  もしかしたら、私は寂しかったのかもしれない。そう考えたことは一度も無かったが、それが一番自分に当てはまる答えのような気がする。  ヤコブが足に頬をすり付けている。 「散歩、行こっか!」  私を癒してくれた大切な家族は、元気な声で応えてくれた。 「ワンっ!」
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