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ある場所で一人の少年が眠りから覚めた。
少し長いくらいの銀髪をもつ少年だ。
彼はベッドに横たわっていた。
白い天井。
まわりを見渡すと部屋の中もほとんど真っ白だった。
構造から察するにはここは病院だろうと感づく。
起きたばかりで記憶があやふやだ。
というよりは起きる前に起こっていた出来事を憶えていないと言った方が正しいだろう。
そんな所に白衣を纏った人達が入って来た。
恐らくは医者と看護師だろう。
「麻生白亜(あそうはくあ)君?」
「はい、そうですが…ここは?」
「ここは××病院だ
大丈夫、君の住んでいる町の近くだ」
医師が言うその病院は俺が住んでいる隣町の病院だった。
前に来たのを覚えている。
ふぅと溜め息をつくが、俺はある事に気づいた。
――なんで俺は病院にいるのだ?
そんな疑問の中、俺はもう一つの変化に気がつく。
この病院で起きる前、つまり自分が気を失う前の事が思い出せない。
忘れたのではない。
憶えていないのだ。
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