夏の空

想い人

一日を終え
夏希は帰り仕度をｻｯｻとすませる
鞄に教科書を入れず
机の中にほぼおいたままな為帰り仕度は直ぐに終わる
夏希は他の子と同じくほとんどの教科書ノートはそのまま置いて帰る

何も入っていない鞄を片手に夏希は足早と教室を去った

-そういゃ、真冬はまだ教室に居たなぁ…-

など思いつつも
夏希は下駄箱へと向かった

下駄箱で何気無く真冬が来るのを待っているとそれ程時間はたたずに真冬が駆け寄ってきた
夏希はそんな真冬に待っていたと悟られぬ様声をかけた

[なに?そんなに急いでどうかしたのか?]

真冬は肩で息をしながら
夏希の顔を見て

[夏、よかったら…一緒帰ろ…??]

と返してきた

夏希はそんな真冬の言葉に少し驚いた
自分が言おうとしていた事を真冬が言うからだ
その為直ぐには返事を返せずにいると
真冬が不安そうな顔で[駄目…?]と呟いてきた

-駄目な訳あるかっ！-

と心の中で呟き夏希は真冬に

[良いよ、帰るか…]

と笑顔で返事を返した

その時
僕の勘違いかもしれないけど
真冬の顔が嬉しそうに見えた

特段これと言った特別な会話をした訳ぢゃない
だけど、
真冬と一緒に寄り道をしたり
一緒にアイス食べたり
そんな何気無い一時が楽しいと思えた
昔はそれが普通だったのに
中学に入学してから
こんな時間を過ごした事がなくて
僕にとっては、すごい幸せな一時だった

そして、
久々に見た真冬のあの笑顔綺麗だと思った

僕は真冬が好き
この想いは止められない

最近意識しすぎて、冷たい態度しか取れないけど
また…前の様に笑って手を繋いで
一緒に帰れる様になるよな…

想い人Fin

ｱﾄガｷ