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船は小さな島を出て、何日も海を渡り、祖国に帰った。
船は半年ぶりに、故郷へ戻ってきた。
しかし、周りは違った。
船が港街を出てから、約3年の歳月が過ぎていたのだ。
船にいた者はその事実を驚き、ある老人から、幻の都の話を聞いた。
小さな島の小さな町。
そこは数十年に数日だけ、世界に姿を現し、そこで過ごす時間は、世界とずれているのだという。
男はすぐに、女を探した。
女は、よく二人で一緒に散歩した砂辺にいた。
別の男と共に……。
男は思わず、隠れてしまった。
信じられなくて、2人をみていた。
2人は日が沈むと、同じ家に帰り、朝を過ごしたのだ。
男と女は、深く愛し合っていた。
それを信じて戻ってきた男に、それは過去のモノだと、現実が突きつけるのだった。
男は女の家から、逃げるように駆け出した。
男の故郷、港街ではある噂が流れていた。
港街を出た船が、1年絶っても帰って来ないので、海賊船と共に海に沈んだ、と。
街を守るために、命掛けで戦ったのだ、と。
街の人々はそれを信じ、女も信じ込んでしまったのだ。
女は深い悲しみに堕ち、死を考えた事もあった。
その時、港に大きな商業船が訪れ、それに乗っていた青年は女に恋をしたのです。
絶望にくれる女を支え、ずっと側にいたのだ。
そして、女は悲しみを乗り越え、二人は夫婦となったのだ。
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