決意

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 俺が操っていたキャラクターが仰向けに倒れ、決着が付いた。 「やったー12連勝!!」 対戦相手の宮崎雅伸が声をあげた。 「洋輔、いつまでたっても格ゲー上達しねぇなぁ」 後ろで俺と雅伸の戦いを見ていた斉藤純一郎がニヤニヤしながら言った。 「まーやんが強すぎんだよ」 俺はムキになって負け惜しみを言った。 「このままじゃ帰れねー、もっかいやろうぜ」 と俺が言うと、純一郎が 「あっ、やべ。もうすぐ10時だ」 と言った。俺達は全員17歳なので、10時になったら帰らないと条例違反になってしまう。俺はもう少しゲームを続けたかったが、やむを得ずゲーセンを後にした。  ゲーセンから帰る途中、純一郎が気だるそうに言った。 「俺明日三者面談なんだよなー」 すると雅伸が純一郎に聞いた。 「そういえばじゅん卒業したらどうするん?」 「医学部入りてーんだけど」 と純一郎が答えると、雅伸がすぐさま突っ込んだ。 「文型が何言ってんだよ」 「昨日テレビで女が結婚したいと思う男の職業ランキングってのやってたんだけど、1位が医者だったからさ」 と純一郎が理由を述べると、俺は驚き、呆れながら言った。 「倉南から医学部ってありえねーし」  倉南とは、俺達が通う倉森南高校である。偏差値55の普通科の高校である。  「まーやんは?」 純一郎が雅伸に聞いた。 「俺は専門学校行ってSE目指すんさ」 「へー、どこの学校行くん?」 「それはまだ決めてないんだけど。とりあえず夏休みが終わるまでに県内の専門学校一通り見学してきてから考えようかと思ってんさ」 (そこまで考えてんだ…) 俺は純一郎と雅伸のやりとりを感心しながら聞いていた。  「洋輔は?」 雅伸が俺に聞いてきた。 「えっ?」 俺はいざ自分が聞かれると答えられらなかった。俺には将来に対する明確な希望がなかったからだ。 「まぁとりあえず大学行くつもりだけど」 と言葉を濁した。 「大学で何やんの?」 純一郎が聞いてきた。 俺はますます動揺した。それすら考えていなかったからだ。 「とりあえず入ってから考えるよ」 と答えると雅伸が笑いながら 「それじゃー受験すらできねーじゃん」 と言った。確かにその通りだ。どの学部に入るかを決めなければ受験すらできない。俺は二人に対して自分の希望を明確にいえない自分を情けなく思った。
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