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翌日、学校で純一郎と雅伸と話をしていたら、市瀬の席からこんな叫びが聞こえてきた。
「えりさ倉大推薦受けんの!?」
俺は顔は二人に向けたまま、神経を市瀬達に向けた。倉大とは、国立倉森大学のことで、県内の大学で唯一の国立大なおかつ、県内の大学で一番偏差値の高い大学である。
「前期受けるつもりでいたんだけど、石原先生が推薦受けられるって…」
市瀬が照れながら言った。
「すっごいじゃんえりさ。いつの間にそんな勉強してたの?」
松田香織が市瀬に聞いた。
「えりさはウチらとは頭の出来が違うよねー」
高橋咲希が羨ましそうに言った。
「あたしも倉大行くもんねー」
上原舞子が強気で言っている。彼女は俺にとって市瀬に近づく上での最大のネックなのである。彼女は市瀬とは幼稚園からの幼なじみであり、市瀬の親友でもある。分かってはいるけど、彼女がどうも邪魔で仕方がない。たまに市瀬が一人でいて、チャンスだとばかりに話しかけようとすると市瀬に近づいてくるのは決まって上原なのだ。そのたびに俺は(チッ、また上原かよ…)と思うのだった。
「大丈夫なの?舞子」
と松田が聞くと
「あたしは幼稚園からずっとえりさと一緒だったんだよ!?大学も一緒じゃなくてどーすんのよ!!」
と大声で言った。俺はつくづく上原はウゼェ奴だと思った。
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