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カーテンの隙間から入る日差し。
心地良く耳を撫でていく鳥の音。
それとは対象に、騒がしく車の騒音が駆け抜けていく。
今日も朝が来た。
もう何度目になるだろう溜め息を盛大に吐いて重い体を起こす。
が、やはり体は言うことをきいてくれず、ボスっと元いた位置に戻る。
もう当分はこうしていたい。
動きたくない。
そう毎日同じように同じところで同じ時間に思っている。
きっとこれは死ぬまで永遠無限ループなのだろう。
そう考えると無性に暴れだしたくなる。
カーテンの隙間から覗く窓の外を見れば、燦々と照りつける太陽の日差しと青い青い空。
それを隠すように流れる雲が、ヒドく羨ましいとさえ思えた。
「祐季ーー!」
嗚呼、嫌な声が聞こえてしまった。
朝っぱらから鬱陶しくてたまらない。
いや、朝だからこそ鬱陶しいのか。
どちらにしろ、この穏やかな瞬間を潰されることが俺にとって迷惑のナニモノでもないのは確かだ。
なんて考えてたら大きく音を立ててドアが開いた。
「今何時やと思っとるん!?もう7時半やで!!早く起きなさい!!!」
そう叫びながらズカズカと人の部屋に入ってきて力強くカーテンを開けるこの人は俺の姉ちゃんで唯一の血縁。
俺には両親がいない。
母と父は俺がまだ幼い頃に離婚して、姉は母、俺は父親に引き取られた。
それは本当に幼い頃の話だから正直その頃の姉ちゃんの顔も母さんの顔も思い出せない。
姉ちゃんは高校に上がるまで母の実家、大阪で暮らしていたらしい。
俺は、転勤の多い親父だった為あちこち回っていたんだけど、夏のある日、親父は死んだ。
俺がまだ小学生の時だ。
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