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そんなディムにフェルナンドは軽く笑いながら、 「別にまだ死ぬと確定したわけじゃないだろ。正式な判決がでるのは二日後なわけだし、もしかしたら父上も思い直してくれるかもしれない」 たしなめるような口調で、言葉の端々にわずかな希望を滲ませた。 正直今の自分が置かれている状況に対して、フェルナンドはいまだに実感がわかないでいる。 地下に拘留されると家臣の一人に告げられた時もまるで他人の話を聞かされているような心地で、恐怖や危機感の類はほとんど感じなかった。 そんな感情よりも強かったのは、王や家臣への疑問と不信感。 そしてそれは追われる身となった今でも同じだった。 「思い直す、ねえ……」 しかしディムは少年の前向きすぎる発言を嘲るように、口の端を歪め、ゆっくりと繰り返す。 「お前、それ本気で言ってんのか? だとしたら相当な甘ちゃんだな」 「……どういう意味だよ」 散々な物言いにフェルナンドがムッとして振り返った。 いくらなんでも『甘ちゃん』は心外だった。 だがディムはというと、「お前の気持ちなど知ったこっちゃない」とでも言うように頭の後ろで腕を組んだまま飄々としている。 その余裕の表情がフェルナンドの苛立ちをますます募らせた。
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