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訊ねるフェルナンドに肯定の印にひとつ頷いてみせると、ディムは歩みを止めずに続ける。
「王侯貴族ってのは元来、罪を犯してもある程度は権力でもみ消しちまうもんなんだ。そうでもしないと由緒正しい家名に傷がつくからな。だがそれでも、時にはお前のように平等に裁かれる時もある。……どうしてだと思う?」
「どうしてって――」
言いながら考え込む。
「俺みたいにってことは、無実でも何かしら罪を着せられて裁かれるってことだろ?」
「ああ」
「じゃあ……その罪を他人に転嫁するため? 真犯人が民衆にバレちゃ困るから、とか」
「ふうん。ま、概ね正解ってとこだな」
意外そうに眉を上げるとディムは言う。
「概ね?」
「そ。責任転嫁ってのはなかなかいいセンいってるぜ。けどまだあと一歩ってとこで確信にゃあ迫ってねえな」
言いながら腕を組み、ニヤッと不敵な笑みを浮かべる。
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