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「た、確かにそうだけど……まだ決まったわけじゃないし……その……」
打ちのめされたような顔のフェルナンドを見て、ディムはふんとひとつ鼻をならすと勝ち誇ったように胸を張る。
「決まりだな。非常に残念なことこの上ないが、これからお前はこの俺と行動する羽目になるわけだ」
ディムはフェルナンドの方を見、にやりと不敵な笑みを浮かべた。
……まったく残念そうに見えない。
「俺と来れば死なねえし楽しいし、もう至れり尽くせりだな、お前。いやあ、これは申し訳ないほど完璧なプランだ。これぞ正に一石二鳥ってやつだな、うん」
ディムは巧みな話術で若干強引に話を完結させた。
決めるのはお前だとかなんとか言っておいて、結局選ぶ余地を与えないなんて、行動と言動がものすごく矛盾している。
そもそも楽しくなるという保証もないというのに、一体どうやったらあんなに自信満々に言い切れるのか、フェルナンドは不思議でならなかった。
まあこいつの場合、十中八九確信犯だろうが。
その証拠に、今も自分の言ったことにわざとらしく「俺ってやっぱすげえよ」などと言いながら、うんうんと何度も頷いている。
(こんな奴に着いていって本当に大丈夫なんだろうか)
フェルナンドの不安は募る一方だった。
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