12454人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの二人、うまくいったかな?」
タクシーの後部座席に座り、翔子は少し開けた窓から、外に向かってタバコの煙を細く吹き出した。
「さぁ?」
後藤が翔子に視線を移した。
「ちーと別れて一年も経つってのに、あの二人、遅いのよ」
後藤はクスっと笑った。
「翔子、ちゃんと佐和子ちゃんに言った?隼輝達が別れたこと」
「あっ言うの忘れてたぁ」
二人は顔を見合わせて笑った。
「だって、あの二人なら大丈夫だと思ったんだもん。いつかきっとって」
「うん、そうだな」
「あたしが小細工しても無駄だっただろうし、それにあたしは自分のことで精一杯だったし」
後藤は翔子の頭を撫でた。
「それに……翔子だって辛かったもんな」
翔子は後藤の肩にもたれてかかった。
「あたしが大好きな二人だもん。きっとうまくいく。あたし達みたいに、ずっと」
後藤は翔子の手を優しく握った。
最初のコメントを投稿しよう!