12月

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聖なる夜。 恋人達がイエスの御加護を受け愛を育む清しこの夜。 街は、彩りどりに装飾され木々は、真っ白な髭を生やしてまるでサンタクロースのように相思相愛の人々を優しく見守っている。 そんな街の風景を見てると詩人なロマンチストの俺は、こう思う。 みんな…死ねばいいのに。 「あぁ寒い寒い寒い…。」 こんな日に外を歩かなきゃいけないなんて…。 「おぃ、いたぞ!」 「やっべぇ!」 雪が積もった道路を寒さで痺れた足で思いっきり蹴る。 しつけえんだよ! 俺は、今、ヤクザに追われている。 理由は…借金だ。 たった100万借りただけなのにあっという間に一千万になっちまった。 「あ!」 何かを踏んずけて転んでしまった。 「いってえ…。」 俺は、踏んずけた物をつまみ上げた。 「チキンの…骨?」 この野郎…。 死んだ鳥まで俺を馬鹿にすんのか!? 「捕まえたでぇ。」 後ろを振り返るとニタリと笑ったヤクザがいた。
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