12月

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「ひでぶ!」 ヤクザの放った飛び膝蹴りが見事、俺の顔面にクリーンヒットし、地面に敷かれた真っ白な絨毯に真っ赤な染みを作った。 「全く…手間かかけさせやがって…。」 熱い。 鼻が折れたんじゃねえか?? 「そんな切羽詰まってるんならえぇバイト紹介してやるわ。」 それって…。 「マグロ漁船とかじゃ…。」 ヤクザは、ニタリと笑ってうずくまっている俺を見下ろした。 「安心せぇ。マグロ漁船よりは、まだ楽やで。」 俺は、安堵のため息を吐いた。 「まぁ一年は、シャバには、帰れへんけどな。」 俺は、再び逃げようとした。 だがヤクザに首根っこを捕まれてしまった。 「借金返したいんやろ?それともコンクリートで固められて大阪湾に沈められたいか?」 残像が出来るほど首を横に振った。 「やろ?大丈夫や。メルヘンたっぷりの仕事やて。」 極悪の顔で笑顔を向けられた。 俺どうなっちゃうんだろ?
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