1月

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「それじゃ、作業開始。」 フクロウが手をパンッと叩くとみんなワラワラと移動していく。 大食堂での仕事は、晩餐会のクリスマスの装飾品の後片付けだった。 「こんな立派なツリーを捨ててしまうのか…。勿体無い。」 大食堂に設置されている本物の大樹から出来ている五つの内の一つのツリーを見上げて、マルゴーが寂しく呟く。 確かにまだ瑞々しく装飾は、本物の木の実で出来ている。 エコじゃねぇなぁ。 「そのツリーは、森の母『マリア』と呼ばれとる。なぁに、捨ては、せんよ。装飾を外した後、『マリア』は、ソリを作る大切な木材となる。その木の実は、今晩のデザートになるんだ。無駄なんか一つもありゃしねえ。」 隣にいたフクロウは、しみじみと『マリア』を見つめた。 …このおっさんは、いつからサンタをやってんだろうか? その感慨深い瞳からは、何も伺えなかった。 「ねぇ?」 装飾品の木の実を片付けつつ、摘み食いをしていた俺にエミュが話し掛ける。 「クリスマスの後片付けって、とても淋しい気持ちになるよね…。」 確かに…。 俺がガキの頃は、クリスマスツリーなんて贅沢品、家に無かったが何となく分かる気がする。 「昔ね、クリスマス前になるとパパが森から小さい木を持ってきて、それに私とママで街で買ってきた小物をツリーにぶら下げてたわ。でもね…、片付けだけは、一度も手伝わなかった…。」
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