1月

32/37
前へ
/78ページ
次へ
「おぉ~しみるぅ~。」 湯を張った浴槽に身を沈める。 作業での小さな擦り傷、切り傷がチクチクと痛いがそれがまた気持ちいい。 「極楽過ぎて昇天しそうだわいな…。」 『ミスターシコン?』 脱衣場の方からキュヴェの声が発せられ風呂場内に音が響く。 『お召し物をお持ちしました。』 「あんがと、後、キュヴェ、一つお願いが…。」 『なんなりと。』 「シャンプー取ってくれ。」 …………。 …………。 お~い、キュヴェ?? 『…プッ!クククククッ…ウッウッウッ…ブフッ!!フゥーフゥー…。』 な、なんだ…!? キュヴェがいきなり壊れだしたぞ!? 数十秒後の空白の後、キュヴェの深呼吸が聞こえ、いつもの調子を取り戻した。 『ミスターシコン、あなたは、本当にジョークがお上手で…。シャンプーは、必要ないでしょう?あなたの頭には、髪の毛がないじゃないですか…?』 『髪の毛がないじゃないですかぁ』『ないじゃないですかぁ』『ないじゃないですかぁ』 頭を言葉と言う名の鈍器で殴られたようだ。 小学生の時、好きな子の笛を舐めようと、盗んで、いざ舐めようとすると納豆の臭いがしたぐらいショックだ。 …朝飯、納豆だったんだな、かよちゃん。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加