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「ブラッシングしてやるからこっちに来い。」
隅っこトナカイは、俺の言葉に反応し、トボトボ向かってくる。
…?
コイツ…体デケぇじゃん…。
ガタイは、ボストナカイと早々変わらない、攻撃的な立派な角まで生えてやがるが、全体的に身を縮めて怯えるようにしているお陰で、びっくりするぐらい情けなく見えるわいな。
傍に来たトナカイの毛並みにブラシを当てる。
すると気持ちよさそうに体を震わせた。
「気持ちいいかい?」
「はい、とっても。」
外見の割に丁寧な言葉を話す。
それを見ていた他のトナカイ達がはやし立てる。
「おぃおぃ、落ちこぼれがハゲ人間にブラッシング受けてるぞぉ!?」
「まぁ、落ちこぼれには、いい相手じゃねえか!」
やはり、このトナカイは、虐めにあっていたのか…。
いや、今は、それより…。
「今、なんて仰いましたかい?ぼっくん、顔と頭以外に耳も悪いので良く聞こえんかったなぁ…。」
さっきまで和気藹々と俺たちに向かって暴言を吐いていたトナカイ2人組の角を両手で掴んだ。
「宜しければ、あなた方の立派な角も折って差し上げましょうか??」
「ホ、ホ、ホーンブレイカーぁあぁ!?」
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