26人が本棚に入れています
本棚に追加
二匹のトナカイ達は、まるで蟹の様に口から泡を吹きながら失神した。
テカ、角破壊者??
トナカイにとって角は、強さの証、勇者の剣。
それをもぎ取られるのは、プライドを肥溜めに突っ込まれるのに等しい。
「す、凄い…。」
暴言を吐かれたトナカイは、まるで他人ごとの様に唖然としていた。
俺にゃ、それが何より腹が立った。
「別に凄かぁねぇや。テカ、お前も雄だろ?あんな事、言われて黙ったままかい??」
俺の言葉を聞いた途端、シュンとするトナカイ。
「オイラだって…悔しいさ…でも、オイラは…。」
「おぉい!今日の作業は、此処まで!!ご苦労だったな。トナカイ達は、サッサと小屋に戻れ。」
何かを言いかけていたトナカイは、口を噤み、牧場を後にしようとする。
「おーい!お前、名前なんてぇんだ!?」
既に遠くなっているトナカイの姿に声を掛ける。
「オイラ、ルドルフ=ピノと申します!!」
「俺は、シコン!これから宜しくな!!ピノ!」
最初のコメントを投稿しよう!