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「待て、待たぬか!」
「いやじゃ!」
「待てと言うに…」
鬼が幼子を抱き上げる
「きゃー捕まった!離しや!」
幼子はじたばたと手足をばたつかせた
「しかし…おぬしホントに鬼なのか?人と大して変わらぬではないか」
幼子はつまらなそうに唇を尖らせた。すっかり鬼に慣れきってしまった幼子は毎日鬼を連れ回し遊んだ。
「貴様…鬼にあらぬ期待を持ちすぎておる」
鬼は幼子を小脇に抱え部屋に戻る
「貴様などではない。妾には朧という名がある。貴族の姫ぞ!」
「ほぅ、名があったか」
「そうだ。時におぬしの名を申せ」
「名なぞない…つけるものがおらぬからな」
「そうか…なら妾がつけてやろうぞ?そうだな…ゆうき…優鬼はどうだ?おぬしは優しき鬼じゃ」
朧が楽しそうに笑う
優鬼と名付けられた鬼は眉間にシワを寄せ泣きそうになるのを必死に堪えていたそうな
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