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「朧は貴族の娘なのに、何故こんな山に捨てられた」
優鬼が不意に朧に聞いた
朧は面白くなさそうに顔をしかめる
「おぬし…もう少し言葉を選べ。いくら妾とて泣くぞ」
「聞きたくなった。諦めろ」
「おぬしの名を優鬼にしたのは間違いであったか…?」
朧は溜め息をつくと優鬼に背を向けた。そして衣服をはだけさせる
朧の背には火傷と切り傷があった
「先の大火でな…妾は使い物にならぬと父から言われた」
幼子らしからぬ苦笑混じりの声に優鬼は言葉を失った
朧は着物を着こむと優鬼に抱きついた
「妾の居場所をくれるならどこへでもいくさ…優鬼、妾を捨てるでないぞ…?」
返事の代わりに強く強く朧を抱いた
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