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コツ…コツ…
大理石でできた廊下を一人の女がヒールを響かせながら歩いている
黒いレースのドレスを翻し、ゆるくウェーブのかかる髪をかきあげる
廊下の奥に構えた扉の前に茶髪の若いボーイがたっていた
「いらっしゃいませ、レストランヘブン&ヘルへ…ご予約ですね?承っております」
観音開きの扉をゆっくり開き中へと案内される
暖色のランプの中、一人には大きいテーブルへと着く
「なかなか洒落てるわね…」
女はキョロキョロと辺りを見回して、品定めするように言う
先ほどのボーイがメニューを開く
「こちらが本日のメニューとなっております」
「では、これを…」
女はメニュー欄の一つを指差す
「ワインはいかがいたしますか?」
「そうね…これで」
同じようにワインのメニュー欄を指差す
「かしこまりました。少々お待ちを…」
ボーイは子犬のような人懐っこい笑みを浮かべると、一礼し下がった。
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