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岬「え……俺ですか?」
岡「当たり前だろ?お前は横浜南と試合した次の日の新聞に載った男なんだからよ。十分なくらいセールスポイントになるだろ!」
右手で頭を抱える秀吾は苦悩していた。
確かに秀吾は横浜南戦の翌日の新聞にどデカい写真と共に載っていた。
『魔球!?英雄、岬秀吾が復活!』という見出しで掲載されたのだ。
岬(俺は英雄じゃない…それにもうあの球は)
そう、秀吾はもうあの魔球『バレット』が投げられなくなっていた。
極限まで追い込まれた時に偶発的に誕生した魔球は完全に会得出来ずに儚く消える運命にあったのかもしれない。
岬「とにかく俺は嫌ですよ。それに俺、そういう声かけとか勧誘とか苦手なんですから」
小「おいおい岬ちゃん!こんな美味しい話を自分から手離すのかよ!?正式に認められたうえで女子に話しかけられるんだぜ?」
西「……小倉、お前は動機が不純すぎや」
相変わらず能天気な発言をするオグを見て、秀吾は少しだけ、本当に少しだけイラッとした。
胸から熱い何かが込み上げてくる感覚。
そんな自分の感情がよく分からず小さく舌打ちをした。
岬「……じゃあオグがやればいいだろ?俺は行かないからな」
自然と刺々しい言い方しかできない秀吾。
秀吾はまだ気づかない。
あの時、あの瞬間から秀吾の中で歯車はゆっくりと狂い始めたことを。
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