フェイドアウト

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やりきれない、やりきれない、やりきれない、やりきれない。  この場末感。パイプ椅子と簡素な机がコの字型に並べられ上には弁当の殻、誰も取り替え様としないから満杯になった灰皿が置いてあるし「ハイ!人生負けました」って感じの親爺が3日前のスポーツ新聞を読んでいるのを見せられると誰だって‘うんざり’しちゃうと思うよ。 そんな親爺の他に数人の親爺がいる、だが名前は殆ど知らない。が、その中で禿げの進行が他のそれより少しばかり遅い「翔ちゃん」は一言、二言会話したことがあるので名前を存じ上げている。 まあ’存じ上げている‘っていうのも変な話なんだけど先程、彼にシガレットつまりシケモクつまり煙草を頂いた訳だ。しかも銘柄がピース。吸えねぇ。 詰まる所そんな‘うんざり’する親爺からシガレットを恵んで貰い吸いたくもない癖に吸って仕舞ってる自分に‘うんざり’してここの場末感は加速して死にたい気分で。 ああピース重てぇ。あの換気扇周り完全にアスベストじゃねぇか。眠たいな。帰りてぇな。酒飲みてぇな。  あらゆる不満が頭の中で盛り上がり今日一番の‘うんざり’が押し寄せている時に休憩終わりのベルが鳴り俺の‘うんざり’は爆発前に寸断された。 いや、正確に言えばそれは予鈴だった。まったくクレイジーな場所。  学校みたいに予鈴があるだなんて。このベルを聞くたびに底抜けに悲しい気分にさせられる、休憩が終わってしまうのを別にしてもさ。 このベルを皮切りに外で昼食をとって来た連中が休憩所に入ってきて パートのおばちゃんやらに混じってここで働く比較的に若い連中が一塊になって雑談をしている。取分けに特筆すべき事じゃないけどそんな光景を観るだけで“うんざり”してしまう程、気分は沈んでいた。まさにベリーサッド! そんなこんなで憂鬱なアフタヌーンワークスが始まった訳だ。
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