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「…他の国とかにも今雪って降ってるのかな…?」
彼女の言葉に俺は戸惑い、少しだけ立ち止まった。
彼女も合わせて立ち止まる。
顔は俯いたままだ。
「場所によるだろ…。」
「…そっか…。」
俺の咄嗟の言葉に彼女が少々肩を落とす。
俺たちは黙ったまま再び歩き出した。
「…もうすぐ…卒業だな…。」
俺はそう言うと、傘から外れて歩く彼女の後ろに着いて歩き始めた。
俺の言葉に、また彼女が俯いた(ような気がした)。
寂しそうな背中。
そればかりを見ていて、俺はいつの間にか止んでいた雪に気づかなかった。
俺は直ぐに傘を畳むと、再び彼女の背中を見つめる。
その情景が何かと重なり、ふと二年ほど前のことを俺は思い出していた。
「…高校一年の時のキャンプ。覚えてるか?」
責任を感じたのか、俺は今までより明るい声で彼女に問い掛けた。
すると彼女が少しだけ笑顔になり、俺は少しホッとした。
「覚えてる…。他校の生徒とかも参加したやつだよね?」
そう…あれは今から約二年前、高校一年生の冬の事だ…。
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