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更に一年が過ぎた。今年も綺麗な桜です。 拝啓 元気でやっていますか。 ふと彼女と出会ったベンチを見ると、一冊のノートがあった。重しだろうか、石が上に置いてある。 僕はそのノートに見覚えがあった。彼女が詩を書いていた、照れながらも幾度となく見せてくれた、あのノートだった。 逸(はや)る気持ちを抑えながら、石をどかしてノートを手に取り、開く。 使い古された感はなかった。 一ページ目、空白。 二ページ目、真ん中に何か書いてある。 「こんな私を待ち続けてくれた優しい貴方へ」 三ページ目。そこには『桜』という題名の詩があった。
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