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近所の公園には一本の大きな桜の木がある。
そこはベンチしかなく、公園というよりは休憩所といった方がしっくりくるような場所で、僕は毎日のように通っていた。
桜の木が目当てというわけじゃなく、単に家の近くだからだ。
季節は春。
本来なら満開とまではいかなくても、お花見は充分に出来る程に桜は花を咲かせているはずだった。
だが今年は例年稀に見る遅咲きで、公園に来る人も残念な様子をあらわにしていた。
彼女もその一人だった。
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