ー鞭ー

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「やあ、来たね」 『こんにちは』 「彼は前の人とは違うね」 「こんにちは」 『うん、寂しそうだったからナンパした』 「お前…」 『だってそうだろ?』 「まぁ…な」 『でも、知り合いだよ』 「よくわからないけど、綺麗な人は大歓迎だ」 そう言って笑いながら飲み物を出してくれた 俺達は何の疑いも無く それを飲んだ そして そのまま眠ってしまったらしい 「翔様は?」 「まだなのよ」 「もうとっくに終わってる時間だぞ」 「捜して来ます」 「あっ、俺もいくよ」 「私も」 夜になっても戻らない翔を捜しに燕羽と紅蝶を連れて家を出た 公園にはサーカスのチラシが落ちているだけで もう誰も居なかった 「サーカス団の車はないな」 「どこに行ったのかしら」 燕羽がチラシを見ながら言った 「翔はこの5時からのを観たとしたら、今は10時だから…」 「紅蝶、本当にサーカスに行くと?」 「確かに言ったわ」 燕羽が何かを見つけた 「あっ、何か光った」 「ん?あら…落とし物かしら」 「だろうね」 「これ、高いのよ」 「へぇ…」 燕羽と紅蝶が何かを拾って話をしていた 「どうした」 「ああ、ほら…落とし物」 「落とし物?」 まてよ… これは見覚えがある でもまさか雫がサーカスに来る訳がないしな 「銀月?」 「いや…同じものを持っている奴を知っているが、関係ないだろう」 「でも、これ確か限定品で名前が入ってるはずよ」 「名前?」 「あっ、ホントだ!」 燕羽が名前を見つけた 「んと…しずく?変わった名前だね」 「何?見せろ」 繊細なブローチには 確かに雫と彫ってある 何故? 全くわからない 雫と翔は一緒なのか? 「あっ、係員の人」 燕羽が指をさした 鍵をかけにやって来た 係員を呼び止めた 「ちょっと尋ねるが、 今日金髪の青年と黒髪の青年を見なかったか?」 「金髪と黒髪…ああ!」 「居たのか?」 「いましたいました! 黒髪の人が振り回されてましたね」 「その後は?」 「その後…あっ、楽屋に案内しました」 「楽屋?」 「猛獣使いの方です」 これはかなりややこしい話になるかも知れない 詳しく話を聞く必要が ありそうだ
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