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「んっ…あっ、やべっ」
あのまま寝ちゃったんだ
セラは座りながら黙って海を見つめていた
「セラ」
『起きた?』
ゆっくり振り向いて笑う
「今、何時だ?」
『7時ちょい』
「お前…おこしてくれればよかったのに」
『気持ちよさそうだったから』
「ごめん」
『いいよ、気にしないで』
こいつは何時間待っていたんだろう…
「あっ…服は買えるとして布団…」
『胡蝶が迷惑じゃないなら…布団はいらないよ』
「えっ…でも俺は寝相が悪いし」
『大丈夫』
「ん~、わかった」
立ち上がり、砂を払う
『月が綺麗…』
「見えるのか?」
『ううん…ぼんやりとしか見えないけど、その
ぼんやりとした月が好き』
「そっか」
セラの手を繋ぎ、車に戻る
てか、手を繋ぐのが当たり前になってきたな
運転をしていても視界に入るピアス
揺れているのがわかる
『胡蝶はこのピアスが
好きなの?』
突然セラが聞く
「ああ…いや、昔それに似たピアスを見た事があって」
『彼女とか?』
「いや、もっと昔だ」
『そうなんだ』
「ああ」
そう
昔…そのピアスをして
笑っていたのは…
『胡蝶って彼女は?』
「また直球だな」
『うん、だって彼女が居たらこうやって胡蝶を独占するのは悪いし』
「成る程…確かに」
『えっ、居るの?』
「なんで泣きそうな顔なんだよ」
頭を撫でながら笑う
『だって…』
「居ないよ…俺の恋人は綺麗な花達だけ」
『そっか』
今度は笑いながら言う
まったくおかしな奴だ…
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