花と水と…

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シャワーを浴び、部屋に向かう つい店に長居してしまった 起こさないように そっとベットに入る 『お疲れ様』 「まだ起きてたのか」 『うん』 「先に寝てろって言ったのに」 『だって…』 「ん?」 話さなくなった 「どうした?」 『だって…胡蝶は、俺が見た事がないような笑顔で花を見てたから』 「そりゃ、愛してるからな」 『もういい』 「セラ?」 何で怒るんだよ… ったく… 「ほら、落ちるぞ」 そっと抱き寄せて、腕枕をする 『胡蝶は、俺より花が 好きなんだね…』 「えっ?」 『俺は胡蝶が好きなのに…胡蝶は花しか見ていないんだ』 「セラ…」 ん?好きなのに? どういう意味だ? 『胡蝶は…俺の事好き?』 「好きだよ」 『それはどういう風に?』 「弟みたいで可愛い」 『違う!そんなのじゃなくて』 「セラ…どうしたんだ」 『俺は…一人の男としての胡蝶が好きなんだ』 「えっ?」 『ごめん…へんな事言って…忘れて』 その時、揺れるピアスを見て、俺の中の何かが はじけた 「ごめんね」 『謝るなよ…余計みじめじゃん』 「違うよ…もっと早く、自分の気持ちに気付けばよかったって事」 『えっ?』 「世間体や常識なんか、関係ないよな…俺、何を迷っていたんだろう」 『胡蝶?』 「お前が気付かせてくれたな」 『えっ?』 「きっと俺は…初めて お前が声をかけてきた時から、恋に落ちてたんだ」 『胡蝶…』 「愛してるよセラ」 『……胡蝶』 「何だよ…俺の勘違いか?」 『違う!嬉しいんだ』 「ほら、泣かないで」 『ごめん…』 「愛してるよ」 『俺も愛してる』 きっと、これからする キスは、初めて心から したいと思ったキス 「セラ…」 優しく抱きしめて 優しいキスをする 初めて愛おしいと思った 初めて愛する事を知った
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