花と水と…

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ん~、5時か… 何とか間に合いそうだな 急いで片付ける 「胡蝶」 「よっ!イベントで?」 「そうよ」 「コンパニオンも大変だな」 「じゃ、胡蝶が癒してくれる?」 「悪いけど他をあたれ」 「えっ?」 「俺さ、もう遊ばないから」 「どうしちゃったの?」 「恋人が出来たから」 「えっ?まさか…冗談」 「ホントだよ」 「だって、胡蝶は特定の人は作らないって」 「ああ、特定にしたい奴がいなかったからね」 「特定にしたい人が出来たって訳ね」 「そういう事だな」 「信じられない…」 「俺もだよ」 荷物を持って立ち上がる 「じゃ、いい男探せよ」 「胡蝶!」 時計を見ながらホテルを出る 急いで車に乗り、家に帰る 何とか間に合ったな 「ただい……」 『お帰りなさい!』 いきなり抱き着いてきた セラ 「ただいま」 抱きしめながら頭を撫でる やはり一人で部屋にいるのは寂しいよな… 「じゃ、買い物に行こうか」 『うん』 手を繋いで近くのスーパーに向かう セラは真剣に食材を 選んでいた 「もういい?」 『うん』 「わかった」 片手でカゴを持ち、手を繋いで歩く 『半分持つよ』 「いいよ、お前はしっかり手を握ってろ」 『うん…うっっ…』 「なっ!どうした?」 荷物を落とし、 突然泣き出したセラを 抱きしめた 『ごめんなさい…』 「どうした?」 『だって…こんなに優しくされたのは初めてだから…』 「当たり前だろ?」 『胡蝶…』 「ほら、帰るぞ」 『うん』 荷物を持ち、手を繋いで歩き出す 「大切にするよ」 『うん』 「だから泣くな」 『うん』 「愛してるよ」 『うん…っっ』 手を繋ぐ二人の影が 月明かりでぼんやり 浮かび上がる 『月が綺麗』 「だな」 毎日歩いている道も セラと二人で歩くと まるで別の道のように 感じた 不思議だな…
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