花と水と…

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食事が終わり二人でDVDを見ていた 今までと違っていたのは、隣にセラが肩にもたれながら一緒に観ている事 そんなセラの肩を抱きしめながら二人で観る 会話はないけど とても幸せな時間 たまに絡めてくる指 退屈な時はすぐわかる その指にそっとキスを しながらまた画面を観る 映画の中で、主人公が 誕生日に花束を送るシーンがあった そう言えばセラの誕生日はいつなんだろう 一人だと言っていたけど、親はどうしたんだ? 俺と知り合う前はどこに住んでいたんだ? よく考えてみると 俺は知らない事だらけ だった セラは…生きていく為には仕方がないと言っていたが… 今まで何人の奴と… この事だけは 考えないようにしていた だけど セラを好きになる程 気になって仕方がない そして… 意味もなくイラつく 『胡蝶?』 「あ…ごめん」 『ぼーっとしてどうしたの?』 「いや」 『どうしたの?』 「ああ…セラの誕生日っていつかな~ってね」 『誕生日?』 「うん」 『俺の誕生日は3月3日だよ』 「聞いてよかった…もうすぐじゃん」 『胡蝶は笑わないの?』 「何故?」 『だって…』 「笑う訳ないだろ?その日にセラが生まれて来なければ、こうして巡り会う事は出来なかったんだから」 『胡蝶』 「だろ?」 『うんっ!』 3月3日… 偶然だよな… 映画の中で今度は お金をもらって体を売る シーンがあった 余り観たくはないな 立ち上がり、ビールを 取りに行く 戻る頃には別のシーンになっていた 『胡蝶は…』 「ん?」 『俺が今までしてきたこと…知りたい?』 「えっ?」 『何人の男にお金を貰ったかとか…何をされたのかとか…知りたい?』 知りたいかと聞かれれば知りたいのが本心 だけど 聞いてしまえばきっと 顔も知らない奴に嫉妬してしまうから 「いいよ…過去の話は忘れろ」 『でも』 「お前はもう昔のお前じゃないんだからさ」 『胡蝶…』 嫌な記憶を綺麗に消せる 薬があるのなら 今すぐ飲んで忘れてしまいたいよ…
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