花と水と…

15/21

3949人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
何となく暗い気分のまま 映画は終わった 正直、内容は覚えていない 頭の中は… セラが知らない奴に 抱かれている顔ばかりが浮かんでいた 自己嫌悪…… 人を愛すると言うことは 同時に苦悩も芽生える事を知る 過去を消す事は出来ない だけど新しい未来を作る事は可能だ だけど… 意味もなくイラつく 「ごめん…先に寝るよ」 『胡蝶?』 「おやすみ」 『おやすみなさい』 振り向かずに部屋を出る 寝室へ向かうはずが 店に来ていた 「ダメだな…」 店の中には、俺が手をかけて大切に育てた花が 綺麗に咲いていた だけど セラは俺じゃない奴らに 育てられたんだよな 当たり前だけど やり切れない どうしようもない事で 悩む俺は何なんだ 「はぁ…馬鹿か俺は」 頭を抱えながら 悩んだって 仕方がないのに 『胡蝶…』 セラ… 「ああ、ごめん」 『どうしたの?』 「どうもしないよ」 『嘘!』 「嘘じゃない」 『だって…変だもん』 「そんな事はないよ」 『胡蝶…ほんとは…俺が汚いと思ってるんでしょ』 「まさか」 『思ってるよね』 「思ってないよ」 『だったら…』 「?」 セラは しゃがみ込んで 俺のズボンのファスナーを降ろし… 「やめろ!」 『どうして?』 「そんな事をするな」 『何故?胡蝶が好きだからしたい…それがダメなの?』 「お前はそんな事しなくてもいいから…おやすみ」 店を出て、寝室に向かう セラにあそこまでさせたのは俺だよな… 誰に教え込まれたんだよ 「クソッ!」 こんなに悩むなら 恋なんてしないほうがましだ だけどもう引き返す事は出来ない セラを愛している事も 事実なのだから…
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3949人が本棚に入れています
本棚に追加