月夜とピアスと…

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「お疲れ~!また明日も頼むよ」 「ありがとうございました」 昔から花屋をやるのが 夢だった そして今、夢を叶え、小さいながらも花屋をやっている俺… 神野 胡蝶(カンノ コチョウ) 24才 独身、趣味特になし 顔?悪いけど女には 不自由してないな 俺が誘うんじゃない 誘われるから遊ぶだけ 愛はない てか、愛って何? 金で買えるもの? 愛はいらない どうせ壊れてしまうから 大切にしても花のように 毎年咲いてはくれないだろ? だからいらない そんな花以外、興味のない人間が俺 「明日は早めに仕入れに 行かないとな…」 月を見ながら呟く 最近出来たお得意様は 小さなホテル 趣味が俺の感性と似ていた イベントや結婚式などに呼んでもらっている もちろん毎週、ロビーの花も活けさせてもらってる 明日は結婚式なので 少し早めに出ないと 間に合わないな 夕食はもういいや 食べなくても死にはしない 『お兄さん』 「?」 後ろから声がする お兄さんて俺? とりあえず振り向いてみる 赤い髪をした少年? 右耳に月のピアスが 揺れていた 「月の…ピアス」 『お兄さん、俺いかが?』 「は?」 『だから…俺はいかがですか?』 「結構だ」 『え~!お兄さん~』 ピアスが揺れる 俺はピアスを見つめていた 月のピアス… まさか…ね そしてあらためて 顔を見た 「犯罪者にはなりたくないよ」 『ちょ!俺は18だし』 「見えないな…」 『ホントだってば!』 「別にそんなに必死にならなくてもいいよ」 『じゃ、俺いる?』 「俺が今欲しいのは、 季節外れのひまわりだ」 『なんそれ』 「じゃな!」 『あっ、待って~』 何か事情でもあるのか? それとも単なる金欲しさか… まぁ、いいや 溜息をつきながら仕方なく俺は言った
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