花と水と…

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参ったな… ビールを飲みながら 独特の世界をただ見つめていた そしてわかった事は この店は一晩限りの相手を求める奴らが集まる店だと言う事 「勘弁してくれよ…」 いやでもセラと重ねてしまう あいつもこうやって相手を毎晩捜していたのかよ 「こんばんは」 目の前に、セラによく似た青年が笑いかけていた 「何?」 「貴方…俺のタイプだから」 「そりゃど~も」 「遊ばない?」 「何をして?」 「もちろん…ね?」 もちろん…か これがセラの生きて来た 世界なら飛び込んでみるのも悪くはない 「俺は初めてきたんだけど」 「じゃ、俺に任せて」 耳元で囁く 「来て」 手を引かれ店を出た 「何やってんだ俺…」 気が付けばホテルのベットの上 そして…俺の上に乗って 乱れる名前も知らない男 「あっ…ああっ…」 セラもこんな顔をして? 「何となくわかったよ…」 「えっ?」 ベットの上に押し倒し、 激しく攻める 「ああっ…すごいっ…」 簡単な事だった 女をイカせるのも 男をイカせるのも 同じ事… 「また…逢える?」 胸に頭を乗せながら言う 「どうかな」 「俺はまた逢いたい」 「誰にでも同じ事を?」 「違うよ…」 「ごめん…帰るよ」 財布からお金を取り出し テーブルに置いた 「お金なんかいらない」 「何故?」 「いらないから」 「じゃな」 お金を置いたまま部屋を出た あって困るものではない 「疲れた…」 外は夜明け前の白い世界 空気が澄んでるような 気がするのは 俺だけかな タクシーに乗って 家に帰る セラは… 『お帰りなさい』 眠らずに待っていた…
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