優しさと苦しみと…

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「んっ…」 星羅? 「目が覚めた?」 「那智…」 「まだ熱があるから寝てなきゃだめ」 そう言ってタオルを取り替える 「お前…寝てないのか?」 「俺は若いからオールなんておてのものなの」 「クスッ」 「喉渇いたでしょ」 「ああ」 コップにスポーツドリンクを入れて渡す (ガシャン) 「あっ…」 「大丈夫?」 「ごめん」 「動かないで、危ないから」 那智はガラスの破片を 拾いながら言う 「いっ…」 「大丈夫か?」 「へーき」 「見せてみろ」 「ん…」 「血が出てる」 無意識に 口にくわえた 「あっ…」 「あっ、ごめん」 「ううん」 口の中には鉄の味が 広がる 「飲ませてあげる」 「えっ?」 那智は口移しでスポーツドリンクを流し込んだ 「ゴクッ」 飲み込みながら視線が ぶつかった そのまま抱きしめ舌を絡めながらキスをした 「胡蝶…」 「ごめん…俺…」 「謝らないで…俺を、 胡蝶の傍に居させて?」 「えっ?」 「セラを忘れさせるから…俺、頑張るから…」 「それは…」 「かわりでもいいから…セラって呼んでもいいよ」 「馬鹿だな…」 「馬鹿だよ」 そうだよな… 忘れなければいけないんだ いつまでも想っていても 苦しいだけなら このまま逃げ出してしまえばいい ずるいよな俺… 「那智…俺は」 「俺は胡蝶が好きだから…セラとの事は…早く忘れなきゃ胡蝶がおかしくなっちゃうよ…そんなのは見たくないんだ」 泣きながら胸に顔を 埋める那智 「忘れる努力をするよ」 「胡蝶…」 「すぐには無理かも知れないけど…」 「うん…うんっ」 「泣くな」 那智を抱きしめながら 頭を撫でる 星羅…… 俺は卑怯者か?
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