優しさと苦しみと…

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腕枕で眠る那智を見て まだ星羅の顔が浮かぶなんて… 「んっ…」 那智は可愛い 最初会った印象とは 全く違っていた 「胡蝶…」 「クスッ」 寝言も聞き慣れたな 「おやすみ」 おでこにキスをして 眠る (弟を抱いた気分はいかが?) (あんただけ笑っていたんだ) (ざまぁみろ!) 「胡蝶、胡蝶!!」 「んっ…那智…」 「またうなされてたね」 「起こしちゃったな」 「そんなのはいいんだ…大丈夫?」 「ああ…ごめん」 「まだ…」 「ん?」 「まだ…セラに苦しめられているの?」 「駄目だよな…」 「ひど過ぎるよ…セラのやった事は許せない」 「いいんだよ」 「だって…」 「もう会うこともないんだ…」 「胡蝶…」 「だから大丈夫…もう少し寝ろ」 「うん…」 那智の頭を撫でながら 星羅の言葉を思い出していた 本当に俺は騙されて いたのか? 愛してると囁きあった 言葉は全て、偽りだったのか? 俺だって馬鹿じゃない 嘘と真実くらい 見抜ける でも、今更その言葉が 真実だとしても お互いを苦しめる言葉には違いない 「ほら、もっと動けよ」 『ううっ』 「金さえ渡せば何でもやるんだろ?」 『くっ…』 「それとも…まだ痛い事をされたい?」 (バシッ) 『うっ』 「そうだ…今日はプレゼントがあるんだよ」 ポケットからピアスを 取り出した 「ほら、これをここにつけてやるよ」 『やめろ…』 「プレゼントはありがたく受け取るものだよ」 体を縛り付け、胸元に舌を這わせる 『やめろっ!』 「ここにつけてやるよ」 『やめろ!やめ…うわぁぁ!』 「フフッ…もうひとつ」 『うわぁぁーー!くっ…ううっ…』 「お前には勿体ないくらいだな」 胸元のピアスを見つめて笑う 『ううっ…』 「また遊んでやるよ」 男が出て行った後 震える手でピアスを外す 『うっ…クソッ!』 ピアスを壁に投げ付けながら泣いた ぼんやり浮かぶ月を見ながら泣いた 『胡蝶……』
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