月夜とピアスと…

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「いくらだ?」 『へ?金なんていらないし』 「は?」 一体何がしたいんだ? 『俺…いる?』 「ついて来い」 『ありがとう、お兄さん』 「俺は胡蝶だ、お前のお兄さんではない」 『わかったよ、俺はセラ』 「セラ?」 『お互い変わった名前だね』 「確かに…」 セラ… 月のピアス…… 「それで…どうすればいい?俺は明日朝早いんだ」 『胡蝶の家に行って俺がご飯を作る』 「何かのサービスか?」 『一緒に食べたいんだ』 「だったら外で」 『いやだ!一緒に家で食べたいんだ』 変わった奴だな… 「わかったよ」 『やった!材料は…』 「肥料しかない」 『じゃ、一緒に買い物だね』 「仕方ないな…」 セラは俺の手を握り、 歩き出した 「おい、引っ張るな」 『早く!』 あどけない笑顔 スカートをはかしても 違和感がなさそうだな 買い物を済ませ、家に向かう 『月が綺麗…』 そう言って空を見上げる 耳元でピアスが揺れる 遠い昔… いや、やめよう 「てか、いつまで手を繋いでるんだ?」 『だって、安心出来るから』 最近、手なんか繋いでないな 久しぶりに繋いだ相手がまさか男だとはね… 「ついたぞ」 『お花屋さんなんだぁ』 キョロキョロと見回す 「花に興味はないだろ?」 『ないけど…好きな花はあるよ』 「何だ?」 『胡蝶蘭』 「えっ?」 『何てね!』 一瞬、焦る 年下の男にからかわれるとはね…
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