憎しみと真実と…

2/9
前へ
/205ページ
次へ
「海だぁ~!」 「ほら、走ると転ぶぞ」 「綺麗~」 那智は笑いながら腕を 組んできた 手を繋ぐ時もあるけど 腕を組んだ方がたくさん体温が感じられるから好き…とか言っていた 何故この海に来てしまったんだろう 星羅と初めて来た海 「見てみて!桜貝」 那智のてのひらに 綺麗な桜貝が乗っていた 「これでピアスつくろうかな~」 「お前、ピアス開いてないだろ?」 「一緒に開けちゃう?」 「痛いからやだ」 「大丈夫…痛くしないから…うへへ…」 「ぶはっ!何者だよ」 「悪代官」 「ばぁか!」 「同じピアスしたいな…」 「ん~」 「したいな…」 「はぁ……わかったわかった」 「えっ?」 「ただし、最初はちゃんとしたピアスにしないとな」 「やったぁ!」 やれやれ… この歳になってピアスかよ 「あのね…」 「うん」 「今日が俺の誕生日なんだ」 「ぶっ…!お前、何でもっと早く言わないんだ」 「だって…」 「何が欲しい?」 「お揃いのピアス」 「成る程ね…」 やられたな…(笑) 「いつまでも一緒にいてね」 「ああ」 「約束だよ」 「約束だ」 那智を抱きしめながら 海を見つめていた 最近は言わなかったのに どうして急に言い出したんだ? 「よし、ピアスを買いに行って夜はここでお祝いをしよう」 「うれしい」 店はまだ開いてないし また夕方に来よう 車に乗り、街を目指す いろんな店を見て歩き回り、ようやく那智の気に入るピアスを見つけた 「これがいい」 指をさしたのは 月と太陽のピアス 絶対に交わる事の出来ない月と太陽…か 「俺が月で胡蝶が太陽」 「わかったよ」 「月は太陽がないと輝けないんだからね!」 「わかってるよ」 その後、ピアスを開けてもらい、人生初のピアスをつけた… しかも右耳……参ったな(笑)
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3950人が本棚に入れています
本棚に追加