憎しみと真実と…

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「ふふっ」 「何だよ」 「だって、嬉しいんだもん」 那智はかなり気に入ったみたいだった そろそろ店も開く頃だろう 『あっ…俺』 「大丈夫ですか?」 『はい』 『手当てはしておいたから大丈夫』 『ありがとう』 「もう少し休んだら、二人で店にいらっしゃい」 『えっ?』 『一緒に夕食食べようよ』 『でも』 「翔様はいつも一人だから寂しいんですよ」 和海が嘘をつく 『うん、そうなんだ』 『ありがとう』 『じゃ、後でね』 ドアを閉め、部屋を出た 「いいんですか?」 『それはわからないけど、二人は今日再会する運命は避けられないだろ』 「運命…ですか」 『運命だよ』 「わかりました」 『二人が別れたのも運命なら、また出会うのも 運命…神様もややこしい事をさせるよな』 「翔様には…」 『ん?』 「いえ」 翔様には二人の結末が 見えているのですか? と聞きそうになった そんな事は聞くまでも なかったな 『和海…』 「はい」 『もしかしたら、俺は 二人の運命を変えてしまうかも』 「貴方がそうしたいのなら」 『地獄に堕ちるね』 「私もついて行きますよ」 『クスッ』 「どこまでもね…」 『うん』 神様には悪いけど あんな結末は嫌なんだ だから 少しだけ 運命をかえさせてもらうよ いいよね?
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