憎しみと真実と…

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「胡蝶、帰ろう」 「えっ?」 「いいから…帰ろう」 「那智?」 『あっ、ランランいらっしゃい』 「こんばんは」 『彼は…』 「那智だよ」 『那智もいらっしゃい』 「こんばんは」 『翔、この席でいいの………胡蝶』 「星羅…」 『久しぶり』 「ああ」 『那智と一緒なんて意外な組み合わせだね』 「セラ…お前…」 『あれ?ピアス開けたんだ…似合うよ』 「胡蝶もね」 『…………えっ?』 視線が二人の耳を追う 『へぇ…お揃いなんだ』 「お前には関係ないだろ」 『まぁね…俺の次は那智か…やるね~』 「てめぇ…誰のせいで 胡蝶は苦しんでると思ってるんだよ!」 『俺のせい…とでも?』 「話にならない…胡蝶、行こう」 「ああ」 『月のピアス…似合ってるよ…お兄さん』 「星羅…」 「胡蝶、早く!」 「ああ」 星羅のピアスが 泣いているように感じたのは きっと気のせいだよな 俺達はもう終わったんだ 気にする事はない (ガシャン) 『セラ!』 「えっ?」 『和海、すごい熱』 「怪我のせいかも知れませんね」 「怪我?」 『セラは怪我してるんだ』 『…胡蝶……行かな…いで…』 「星羅…」 「胡蝶!ダメだよ!」 「那智…」 「行かないでよ…胡蝶」 『ランラン、これでお前の運命が決まるんだ… 最後の選択だよ』 「胡蝶…嫌だよ…」 那智…最悪の誕生日だな 俺は、どうすればいい 『さぁ…決めて』 「俺は…」 開けたばかりの耳が 痺れていた 頭の中で 星羅と那智の顔が 交差していた
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