憎しみと真実と…

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「那智…ごめん」 「何でだよっ!どうして自分から辛い道を選ぶんだよ!胡蝶!」 「月のピアスが泣いていたから…」 そう言って星羅を抱き上げた 「悪かったな」 『いいんだ…ランラン、お前の選択はこれでいいんだね?』 「ああ…俺は星羅と地獄に堕ちるさ」 『じゃ、俺達と一緒だな』 「えっ?」 『那智は任せておけ』 「悪いな」 『また来いよ…二人でね』 「ああ」 床に座り込む那智を見ずに、店を出た 星羅…また軽くなってるな… 俺もどうしようもない 馬鹿野郎だ… 『大丈夫?』 「な訳ないだろ!」 泣きながら那智が睨み付ける 『那智はいい子だな』 「えっ?」 『わかってたんだろ? 胡蝶がまだセラを好きな事は』 「うん」 『辛かったな』 「辛くても…一緒にいられればよかったんだ」 『それは違うよ』 「えっ?」 『那智が辛いなら胡蝶も辛いのさ…そんな二人が一緒に居てもそれは偽物』 「だけど!」 『大丈夫、那智にはすぐに素敵な人が見つかるから』 「嘘だ」 『ホントだよ…俺にはわかる』 「でも…胡蝶が好きなんだ…」 『お前を傷付けた罰は、重いよな…』 「えっ…?」 『だから試練を与えられた…血の繋がりと言う試練をね…これからあの二人…いや、胡蝶はもっと苦しむかもしれない… でも、その苦しみがわかったうえでセラを選んだんだよ…馬鹿野郎だな』 「翔…」 『返してやれるよな?』 「………………」 『お前、誕生日なんだって?じゃ、今からパーティーのやり直しだな』 「………………」 『ワインも飲ませてやるから』 「うん」 『飲んで忘れて明日は笑え』 「そんなにすぐ忘れられるかよ…」 『ほら、お前の運命の人がやってきた』 「えっ?」 『クスッ』 「犬かよっ!」 『呼ぶか?』 「もう何でも呼べよ!」 那智はきっと大丈夫 運命の人はすぐそこまで やってきてるから… 「ちょ!ほんとに犬とかっ!」
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