憎しみと真実と…

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『罪ならとっくにおかしてるよ』 「星羅」 『胡蝶はずっと一人ぼっちだったんだね』 「逃げないのか?」 『どうして逃げるの? 一緒に地獄に堕ちるって約束したじゃない』 「お前…」 『思い出したよ…あの日あいつが俺に何をさせていたのかを』 「星羅…」 『今考えると頭がおかしいとしか思えない… だってそうだろ?実の息子の口の中であいつは…』 「もうやめろ」 『あいつは…死んで当然さ』 涙を流しながら床を見つめる そう あいつは狂っていた だって 俺にも同じ事を無理矢理 させていたから 『まさか…胡蝶も』 「いいんだよ…もう忘れよう」 『胡蝶…』 「それよりも…」 『見せ付けてやろう』 「ああ…たっぷりと悔しがる程ね」 床の上で抱き合う俺達も狂ってるのかも知れない 『胡蝶…もっと…あっ』 「星羅…」 『ああっ…んっ、あっ』 父親の死体の上で 愛し合う兄弟なんて 正気じゃないな… でも、正気なんかじゃお前を愛す事なんか出来ないだろ? 『胡蝶…胡蝶…あっ』 激しく揺れる月のピアス 今は笑っているように 見えた 『愛してる…胡蝶… 愛してる…ああっっ』 「星羅…っ」 「もう戻れないな」 『うん戻れない』 「お前は幸せか?」 『幸せだよ…胡蝶は?』 「お前が幸せなら俺も幸せ」 『よかった』 「うん…よかった」 神様… 貴方とは仲良くなれそうにもありません 罰ならとっくにうけているから いまさらどんな罰でも 怖くはないんです 『胡蝶…愛してる』 「愛してるよ星羅」
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