花と水と…

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仕事が終わりいつものようにホテルに向かう 「お待たせ」 「待ったわよ」 「どうする?食事は?」 「私は貴方が食べたい」 「怖いな」 肩を抱きながら 部屋に向かう 楽しい訳じゃない ただ、男だから仕方がない ぶっちゃけ、勝手に動いてもらえればいいのだが… そうもいかない 「今日は朝までいられる?」 やべっ…すっかり忘れてた 「いや、帰るよ…てか、今何時だ?」 「夜中の2時よ」 もう…寝てるよな 「じゃ、またな」 「あっ!胡蝶~!」 急いで家に帰る どうして必死に走ってるんだ俺… どうせ寝てるのに 玄関をそっと開ける 『おかえり』 「お前…」 『おかえり』 「ただいま」 『今、すぐに温めるから』 「お前…食べずに待ってたのか?」 『だって、一緒に食べるって約束したから』 「ごめん…」 セラに嘘は通用しないし 簡単な口約束もしてはいけない 「セラ…ホントにごめん」 『どうして謝るの?』 「えっ?」 『だって、一緒にご飯食べてくれるんでしょ?』 「ああ」 『じゃ、胡蝶は悪い事はしてないもの』 そう言って笑う 「違う…なるべく早く帰るって」 『仕事なら仕方ないもんね』 どうしてこんなに胸が痛む? 昨日出会ったばかりなのに 約束なんて 簡単に信用するなよ… 約束をさせて俺は平気で破るなんて最低じゃん 『今日はしょうが焼きだよ』 「美味しそうだな」 『さっ、食べよう』 「ああ」 『いただきます』 「いただきます」 『美味しい?』 「ああ…美味しいよ」 『よかった』 嬉しそうに笑うセラ ほんとは味なんてわからない セラを見ていたら涙が零れそうになったから 食べ終わったのは 朝の4時 「寝るぞ」 『うん』 セラの手を繋ぎ、部屋に 向かう 変な気分だ…
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