狂喜と快楽と…

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『静かでいい店だね』 「ああ、初めての店にしては当たりだな」 食事も終わり、二人で お酒を飲んでいた 隣同士に座っているのに もっと近付きたい 『はぁ…もっと胡蝶と いちゃつきたいな~』 「手を繋ぐだけでは、 不満?」 『不満って言うより… 胡蝶を見せびらかしたい』 「お前なぁ…」 『でも、普通の店じゃ 無理だもん』 「まぁ~な」 『ちぇ…』 だからと言って そういう店に行くのは 何となく気が引けた 別に俺達は仲間が欲しい訳じゃないし 相手を捜している訳でもないから 『じゃ、家に帰っていちゃいちゃしよう』 「だな」 店を出て、また歩きだす 「あれは…」 『ん?』 ふらつきながらあの店に入っていく奴は… 「静流…何故こんなところに…」 『胡蝶…』 「ごめん、見間違いだな」 『ううん…間違いない…気になるなら入ってみる?』 「だけど」 『俺なら大丈夫だよ』 「ん~」 『そのかわり…俺が絡まれたら助けてね』 「当たり前だろ!」 『じゃ、行こう』 この店は逆に、手を繋いでいないと入りにくい 『あっ…』 「いちゃつきたいんだろ?」 『もう…』 星羅の肩を抱いて、店内に入る 独特の世界 閉鎖的な赤の世界 外人も多いので 異国のようにも思える 目立たない壁際に座る 静流はカウンターで 飲んでいた 『知ってる?』 「ん?」 『あのカウンター』 「それがどうした?」 『いつでもオッケーって事』 「えっ…それって」 『気に入ればそのまま ホテル』 「マジかよ…」 『お金が欲しければ、 そう言えばいい…でも ほとんどがお金目当てだけどね』 「そうか…」 今更、責める訳には いかない もしかしたら、俺が静流を変えてしまったのかも知れないから 強い酒と笑い声 絡み合う視線 俺には向かない店だし 星羅も余り連れてきたくはない店だな…
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