3950人が本棚に入れています
本棚に追加
『胡蝶、あの男が声をかけるよ』
「ん?」
星羅の読みは当たった
「お前すごいな」
『見えないけど雰囲気でわかるんだ』
「成る程」
『どうするの?』
「どうするって言われてもなぁ」
「あれ~?珍しいじゃん」
「那智」
『居たの?』
「今日はたまたまだよ」
『へぇ』
「そんなに絡むなよ」
那智が笑う
「那智、あのカウンターに座ってる奴…」
「ん?」
カウンターをチラッと見ながら言った
「静流の事?」
「知ってるのか?」
「ああ、最近よく見るね」
『いつもあそこに?』
「だな…別に金が欲しい訳でもないみたいだし」
『相手を捜してるだけ?』
「そゆこと…今思えば、胡蝶に似た奴ばかりなんだよな…不思議だろ?」
「……ああ」
『胡蝶』
「どうしようもないだろ」
「ん?もしかして知り合い?」
「まぁ…な」
「成る程ね…だからか」
「参ったな」
『じゃ、あいつは断られるね』
「だな~」
星羅が言った通り、声をかけた男を相手にもしなかった
「あ~、彼はオッケーだな」
「えっ?」
『だね…目が胡蝶に似てる』
「まさか…」
静流は笑いながら話をしていた
「やっぱりな」
『どうするの?』
「だから、俺にどうしろって言うんだよ…」
『そうだけどさ』
「でも、かなり無茶な遊び方らしいぞ」
『立ち上がったよ』
「てか、相手の男…」
『うん…かなりヤバイ奴だよね』
「怪我しなければいいけどな」
仕方ないな…見てしまったら見過ごす訳にはいかない
「那智、これで静流を買ってこい」
「ちょ!10万て…」
「早くしろ」
「わかったよ」
渋々立ち上がり、カウンターへ向かった
『胡蝶…』
「ごめん…」
『いいよ…そんな優しい胡蝶も好き』
「ばぁか!」
那智はこの店には顔が利くみたいだ
声をかけた男はどこかに消えて行った
そして
静流を連れてやってきた
最初のコメントを投稿しよう!